梅干しはなぜ腐らない?塩と天日干しがつくる保存の仕組み

Delicious oven-roasted cherry tomatoes seasoned with herbs and spices on a baking tray. Uncategorized
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梅干しはなぜ塩だけで腐らずに何年も持つのか

梅干しは塩の力だけで長期保存ができます。冷蔵庫がなかった時代から常温で保存されてきたのは、塩分濃度を高くすることで微生物が増えられない環境をつくっているからです。防腐剤も加熱殺菌も要りません。

仕組みは単純です。梅の実の中には水分がたっぷり含まれています。そこに塩をまぶすと、浸透圧の働きで実の中の水分が外に引き出され、梅酢と呼ばれる液体になります。同時に塩分が実の内部にしみ込んでいきます。カビや腐敗菌は塩分濃度が高い環境では増殖できません。だから梅干しは腐らないのです。塩分濃度がおおむね18%を超えるあたりから、菌にとって過酷な環境になると言われています。

台所で梅を漬けているところを想像してみてください。容器の中で梅の実がだんだん梅酢に沈んでいく光景です。漬けはじめの2、3日はまだ水分が少なく、実が梅酢に完全に浸かっていないことがあります。この段階でカビが出やすいので、毎日容器を揺すって梅酢を全体に行き渡らせる作業が必要になります。

ここで迷いやすいのが、減塩梅干しとの違いです。市販されている塩分控えめの梅干しは、いったん高塩分で漬けたあとに塩抜きをして調味液に漬け直しています。最初から塩を減らして漬けているわけではありません。自分で漬ける場合、塩分を大きく減らすとカビのリスクが跳ね上がります。初めて漬けるなら、塩分は控えめにしないほうが安全です。

準備するもの――梅・塩・容器の選び方

梅干しづくりに必要なものは、完熟梅、粗塩、漬け込み用の容器、重し、そして天日干し用のざるです。特別な道具は要りません。ただし、それぞれの選び方で仕上がりが変わります。

梅は青梅ではなく完熟した黄色い梅を使います。青梅はまだ硬く、漬けても皮が破れやすかったり、香りが立ちにくかったりします。完熟梅は追熟させることで手に入ります。届いた梅が青ければ、常温で数日置いて黄色くなるのを待ちます。塩は精製塩よりも粗塩を使うのが基本です。精製塩はナトリウム純度が高く、粗塩に比べてミネラル分が少ないため、味の角が立ちやすいと言われています。容器はガラス製やホーロー製の広口瓶、または漬物用のポリ容器を使います。金属製は塩分や酸で腐食するため向きません。

実際の場面で言うと、梅2kgを漬ける場合、塩は昔ながらのやり方だと梅の重さの18%前後、およそ360g前後を用意します。重しは梅の重さと同じか、それよりやや重いものを使います。ペットボトルに水を入れたものでも代用できますが、容器の口が広くないと重しを乗せにくいので、口径には注意が必要です。

迷いやすいのは塩の量です。塩分を減らしたい気持ちは分かりますが、初めての人が塩分を12%程度まで下げると、カビが出るリスクがかなり高くなります。減塩は、しっかり漬かった梅を後から塩抜きする方法で対応するほうが安全です。また、梅は必ず傷のないものを選びます。少しでも傷んだ実が混じっていると、そこからカビが広がることがあります。

漬け込みから土用干しまでの手順

手順は大きく分けて、塩漬け、梅酢が上がるのを待つ期間、そして天日干しの三段階です。この順番を守れば、特別な技術がなくても梅干しは仕上がります。

まず梅を水で洗い、へたを竹串などで取り除きます。水気をしっかり拭き取ってから、容器に梅と塩を交互に重ねて入れます。一番上には多めに塩をのせます。重しを乗せてふたをし、冷暗所で保管します。2日ほどすると梅酢が上がり始め、1週間ほどで梅全体が梅酢に浸かる状態になります。このまま梅雨明けまで、1か月前後置いておきます。

梅雨が明けて晴天が3日以上続きそうな時期を選び、土用干しをします。梅酢から梅を引き上げ、ざるに並べて日中は屋外で日に当て、夜は室内に取り込みます。これを3日ほど繰り返すと、皮にしわが寄り、表面が乾いて赤みが増します。梅酢に戻すかどうかは好みで決めます。干し上げたまま保存する人も、梅酢に戻してから保存する人もいます。

具体的な場面を挙げると、7月半ばに梅酢から取り出した梅をざるに並べ、朝9時から夕方4時ごろまで日に当てる作業を3日続けたとします。1日目の夕方にはまだ実がふっくらしていますが、3日目になると皮に細かいしわが寄り、指で触るとやや弾力のある質感に変わります。この変化が土用干しの完成の目安です。

迷いやすいのは、天気が崩れて干す日数が足りない場合です。無理に短い日数で切り上げると水分が抜けきらず、保存性が落ちます。干している途中で雨に当たると、せっかくの梅酢の風味が薄まってしまうこともあるので、天気予報を見ながら日程を調整するのが現実的です。

つまずきやすいところ――カビ、塩の吹き方、皮切れ

梅干しづくりで一番多い失敗はカビです。次に多いのが皮が破れてしまうこと、そして表面に白い粉のようなものが吹く現象への戸惑いです。それぞれ原因が違うので、対処も変わります。

カビは、梅酢が上がる前に実が空気に触れている時間が長いと発生しやすくなります。塩をまぶした直後の2、3日は特に注意が必要です。容器を毎日揺すって梅酢を全体に回すこと、重しをきちんと乗せて梅を梅酢に沈めることがカビ予防になります。もしカビが出てしまった場合、白カビであれば表面を焼酎で拭き取って対処できることもありますが、黒や緑のカビが出た場合はそのあたりの梅を除去する必要があります。

皮切れは、梅を洗ったあとの水気が残っていたり、塩の粒が梅の表面に強く当たったりすることで起こりやすくなります。皮が切れること自体は味に大きな影響はありませんが、見た目が気になる場合は、梅を扱うときに優しく置くようにするだけでかなり減らせます。

白い粉のような結晶は、塩やクエン酸の結晶であることが多く、必ずしもカビとは限りません。ただ、見た目で判断がつきにくいときは、無理に食べずに廃棄する判断も必要です。ここは迷うところですが、少しでも異臭がしたり、粘り気があったりする場合はカビの可能性を優先して考えたほうが安全です。見た目がサラサラした白い粉で、なめてみて塩味だけなら結晶であることが多いです。

漬け上がったあとの保存とアレンジ

土用干しを終えた梅干しは、常温で長期保存が可能です。ただし保存の仕方によって風味の変化が違うので、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

干し上げてそのまま保存すると、塩の結晶が表面に出てきて、しょっぱさが際立つ梅干しになります。一方、梅酢に戻して保存すると、しっとりとした食感が保たれ、酸味と塩気のバランスが穏やかになります。どちらも清潔な瓶に入れ、冷暗所で保存すれば1年以上は持つと言われています。時間が経つほど味がまろやかになっていくのも梅干しの特徴です。

具体的な場面で言うと、漬けた年の夏はしょっぱく感じた梅干しが、翌年の梅雨時に食べると角が取れてまろやかになっていることがあります。梅干しは寝かせる食品でもあるのです。焼酎に漬けて梅干し酒にしたり、細かく刻んで叩き梅にしてご飯に混ぜたりと、アレンジの幅も広くなります。

例外として、塩分を大きく減らした状態で漬けた梅干しや、はちみつなどで調味した梅干しは、常温での長期保存には向きません。市販の調味梅干しの多くは冷蔵保存が前提になっています。自家製でも、塩分濃度を下げて漬けた場合は、保存期間を短く見積もって冷蔵庫で管理するほうが安全です。手作りの梅干しは、塩分濃度と保存環境によって寿命が大きく変わることを覚えておくとよいでしょう。

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